2016/05/16

メイリン 「うーん……」

クローディア 「? どうしたメイリン。夕食のメニューで悩み中か?」
メイリン 「あ、クローディアさん。いえ、メニューは決まっていて、お買い物も済んだんですけど……」
クローディア 「何か問題か?」
メイリン 「問題と言うほどでもないですけど、これがちょっと気になっていて」
クローディア 「……ああ、ひと口大に切ったジャガイモに衣をつけて揚げたものだな。スーパーで買ってきたのか?」
メイリン 「はい。主さんがこの芋フライがお好きだと言うので買ってみたんですけれど、どうもよろしくないんです」
クローディア 「というと?」
メイリン 「先ほどつまみ食い……じゃなくて試食してみたんですけど、揚げ足りないのか、中心が生っぽくてゴリゴリと硬いんですよ。これはさすがに主さんにお出しできないんで、自分で作ろうと思うんですけど……」
クローディア 「生のジャガイモをゴロリと塊のまま揚げると中まで熱が通りづらいからな」
メイリン 「かと言って、中に熱が通るまで揚げると表面が黒焦げになりますよね。どうすればいいんでしょう?」
クローディア 「ふむ、低温の油でじっくりという方法もあるが、一般的なのは下ゆでしてから揚げる方法だな」
メイリン 「ああ、なるほど」
クローディア 「ジャガイモが柔らかくなるまでゆでてから衣をつけて揚げればいい」
メイリン 「やってみます」

 


メイリン 「ゆで具合は竹串がすんなり刺さる程度でいいんでしょうか」
クローディア 「そうだな、それより少し硬めでいいだろう。このあと揚げる工程でさらに熱が入るのを考慮すべきだ」
メイリン 「はい」


メイリン 「とりあえず揚げてみましたけれど……」
クローディア 「うむ、中まで柔らかくなっているな」
メイリン 「でも、なんだかジャガイモの味が抜けてしまってる感じがしません? それにやっぱり外と中の硬さに差があるのは気になります」
クローディア 「味抜けに関しては、ゆでるのではなく蒸せばある程度防ぐこともできるな。ただし手間も時間もかかってしまうが」
メイリン 「レンジとラップでなんとかなりませんかね?」
クローディア 「それでもよかろう。硬さは……確かに表面に近いところはもろいな。衣がすぐに剥がれてしまう」
メイリン 「うーん……」
アレッサ 「お? なんか香ばしい匂いがすると思ったらポテトフライ作ってんのか」
メイリン 「アレッサさん。これ、ちょっと味見してもらえませんか」
アレッサ 「どれどれ。……普通に美味いポテトフライだナ。味付けしてないから物足りないけど」
クローディア 「ジャガイモの中と外で歯ごたえが違うのは気になるか?」
アレッサ 「歯ごたえ? そーだなー、衣がサクッとしてて中がホッコリしてるから別に気にならないッつーか、これはこーゆーもんじゃないのかね」
メイリン 「アレッサさんに聞いたのが間違いでしたね……」
アレッサ 「おおっとー、サラッとひでぇこと言いやがったぞー」
クローディア 「うむ……どうすればいいだろうな」
アレッサ 「衣をつける以上は歯触りの違いはあって然るべきっつーか、イモと衣の歯触りが違うんだから、いまさらイモの硬さがどうこう言ったって仕方ないんじゃねーの。そう思わないか、ローナ?」
ローナ 「そうですねぇ」
メイリン 「そういうものなんですかねー……」
ローナ 「中と外の硬さの差が気になるんなら、マッシュにしてしまうのも手ですよ。イモを潰してちょっと硬めの団子にして揚げるといいでしょう。ついでに塩コショウなどで下味つけたり、甘味づけに炒めたタマネギ入れたり、なんだったらひき肉入れてもいいんじゃないでしょうか」
メイリン 「なるほど! それいいですね!」
クローディア 「そうか、そういう方法があったな」
メイリン 「やってみますね!」


クローディア 「どうだ、メイリン」
メイリン 「うん、これなら硬さのばらつきは気になりません! この芋フライなら主さんもよろこんでくださるに違いありませんね。ローナさん、アレッサさん、ありがとうございます」
ローナ 「いえ、無事完成したならそれでいいんですよ」
アレッサ 「メイ、礼ならおっぱいもみもみさせてくれるだけでいいぞ」
メイリン 「嫌です」
アレッサ 「しくしく……」
クローディア 「ふむ……私のでよければ触っていいぞ」
アレッサ 「サンキュ、ディア。でもなんつーか恥ずかしいから遠慮する」
メイリン 「私だったら恥ずかしくないんですか……」


工房主 「お、今日のメニューはフライだね。中身は何?」
メイリン 「ジャガイモです。スーパーで芋フライを買ってきたんですけど、中まで火が通ってなくて硬かったんで、少し工夫して作り直してみたんです」
工房主 「なるほど、芋フライって結構好きなんだよね」
メイリン 「お味はどうでしょう?」
工房主 「…………」
メイリン 「何かお気に召さないところはありますか」
工房主 「いや、美味しいよ。揚げ具合もちょうどいい」
メイリン 「そうですか、安心しました」
工房主 「潰したイモの下味もちょうどいいし、タマネギの甘みも効いてて、丁寧な仕事がしてあって美味しいよ」
クローディア 「よかったな、メイリン。苦労した甲斐があったな」
メイリン 「はい!」
工房主 「ただ、一つだけ言うなら――」
メイリン 「え?」

工房主 「これ、芋フライじゃなくてコロッケだよね?」


メイリン・クローディア 『……あ。』
ローナ (……ジョークのつもりで言ったはいいものの、作っててそれに気づかないとは思いませんでしたね……)



          完

 
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