2017/02/28

工房主 「工房でプレミアムフライデーを採用しようと思う」

工房主 「どうだろうか?」
アレッサ 「いいんじゃね? 大した仕事も無いし、終業を二時間早めても影響しないだろ」
工房主 「そうだね。せっかくだし、毎週やるというのもいいかもしれない」
アレッサ 「うお。太っ腹だナ。やっちゃえ」
ローナ 「いいんですかアレッサさん。月四回、八時間分のお給料が毎月減るってことですよ」
クローディア 「それにその日の夕食はまかないから出なくなるな」
アレッサ 「それは困る。採用反対!」
工房主 「……ちっ……(気づかれたか)」


 


アレッサ 「で? なんでいきなり大企業みたいなことを言い出したんだ?」
工房主 「いや、工房メイドの労働意欲を高めるために休みを増やしてみようかと」
アレッサ 「ほほう、それは従業員思いで感心なこった」
ローナ 「その分、人件費を削れますものね?」
工房主 「うん」
アレッサ 「認めやがった……!」
ローナ 「来年度から始業時間が現在の九時から十時に変わるのも、その一環ですか?」
工房主 「いや、それは私があと一時間ゆっくり寝たいからであって」
クローディア 「……それは会社経営者としてどうなのだ」

工房主 「まあ、正直なところ工房ではプレフラにあんまり意味がないと思ってる」
メイリン 「どうしてですか?」
工房主 「君たちは工房が三時に終業したらどうする?」
アレッサ 「ここらの居酒屋は六時開店が多いから、それまで工房で暇つぶしだナ」
クローディア 「畑の様子を見に行くくらいしかすることがない」
ローナ 「安月給では寄り道するお金もありませんし、真っ直ぐ帰宅ですね」
メイリン 「衣装のオーダーがあるのでここで作業します。注文が途切れませんし」
ヴィアーチェ 「主さんのサポート、でしょうか。主さんは業務時間に関係なくお仕事なさっていますし」
工房主 「というように、業務時間内外関係なく君たちの行動はほとんど同じだから無意味なんだよ」
アレッサ 「まー、そうだナ。人件費とまかない代を削る以外にメリットがない」
ヴィアーチェ 「経営側としてはすごく大きなメリットなんですけどね」

工房主 「なので、プレフラの採用は君たちの意見を聞いてからにしようとしたわけだが、どう?」
アレッサ 「さっきも言ったが反対だ。まかないがなくなるのは嫌だ」
工房主 「アレッサなら三時終業でも夕ご飯時に戻ってきそうな気がするんだけど」
アレッサ 「当然ですが何か?」
工房主 「威張るな!」
ヴィアーチェ 「他のかたは?」
クローディア 「日が暮れるまで畑にいるから、私はどちらでもかまわんが」
工房主 「畑の世話も工房の仕事のうちだからタダ働きさせてることになるね。それはまずい」
ローナ 「私はお給料が明確に減るので反対です」
工房主 「正直で大変よろしい」
メイリン 「終業以降が残業扱いで割増になるなら歓迎です」
工房主 「メイリンが金勘定をしてるッ!? 事件だ!」
メイリン 「私だって今年でxx歳になるんですし、お金の管理くらいしますよ……」
工房主 「成長したんだなァ……。アレッサ、今晩はお赤飯だな」
アレッサ 「なんか違う意味に聞こえるからやめれ」

工房主 「と、意見をまとめると、プレフラ導入はしない方がいい、と。それでオーケー?」
アレッサ 「そうだナ」
ローナ 「肝心の主さんはどうお考えなのですか?」
工房主 「私? 私は……反対」
クローディア 「なぜ?」
工房主 「みんなが三時に帰ったら、誰が私の夕ご飯を作るんだよぅ」
アレッサ 「テメェで作れよたまには……」
工房主 「休みも関係なく毎日昼夕を食べにくるアレッサにだけは言われたくないんだが」
アレッサ 「あ? 何だったらあたしが作ってやってもいいんだぞ?」
ローナ 「主さん! 早く謝って下さい! 私たちまであのバイオ兵器の巻き添えにするつもりですか!」
工房主 「アレッサさん、すみませんでしたァ!」
アレッサ 「……くそ、謝られるとかえって釈然としなくなるのはなぜだ……」

ヴィアーチェ 「私は終業しても夕刻まで工房にいますから、ご心配なく。もちろん残業代などいただきませんし」
工房主 「アーチェ……ありがとう」
ヴィアーチェ 「主さん、みんなの前でその呼び方はしないでくださいと……」
工房主 「ああ、ごめん。つい」
アレッサ 「もうさー、メイド長は帰らずに工房に住んだらいいんじゃね?」
ローナ 「ですね。毎日主さんのお世話をしているわけですし、交通費がもったいないですよ」
工房主 「無理だ。ヴィアーチェと一つ屋根の下で眠れるほど私の神経は太くない」
アレッサ 「知ってるよ。でもそれがどうした」
工房主 「君は私を睡眠不足で動けなくするつもりなのかい?」
アレッサ 「あー……。つーか、そんなことで結婚後はどうするんだよ……」
ヴィアーチェ 「け、け、けけ結婚だなんてそんなつもりはありませんッ……!」
工房主 「…………」
ローナ 「主さんが泣いてますよ」
ヴィアーチェ 「ああっ、そのっ、別に主さんが嫌いだと言うわけではなくて、むしろお慕いして……」
工房主 「知ってる。私もアーチェが大好きだ」
ヴィアーチェ 「っ……」(蒸気爆発)
工房主 (……まぁ、今は結婚は考えてないんだけどね。いろいろ障害があるし……)

メイリン 「何の話でしたっけ……?」
ローナ 「プレミアムフライデー導入の話ですよ」
工房主 「ま、ウチには関係ないってことでオーケー?」
アレッサ 「オーケー」
ローナ 「そうですね」
クローディア 「うむ」
メイリン 「はい」
工房主 「じゃ、工房では今まで通りってことで」


アレッサ 「で、この話にオチはないんかい?」
工房主 「ないよ?」
アレッサ 「待てコラ。そんなことで読者様が納得すると思ってんのか?」
工房主 「思ってないけど」
アレッサ 「だったら何かオチつけろよ! 相変わらず使えねーマスターだなァ」
工房主 「まあまあ、アレッサ。興奮しないで、これでも飲んで」
アレッサ 「何これ? ビール?」
工房主 「うん。遠慮なくどうぞ」
アレッサ 「…………っはー、キンキンに冷えててうめぇ」
工房主 「落ち着いた?」
アレッサ 「ああ」
工房主 「よかった、『オチがついた』と」
アレッサ 「駄洒落かぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁあぁッ!」


        完

 
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