2018/03/12

工房主 (……調子悪そうだなぁ……)

ヴィアーチェ 「今朝の報告は以上です」
工房主 「ありがとう。ところで一つ質問があるんだけど」
ヴィアーチェ 「はい」
工房主 「体調悪いよね? それもここ一週間くらいずっと」
ヴィアーチェ 「いいえ、そんなことはありませんが」
工房主 「そんなことあるから言ってるんだよ」
ヴィアーチェ 「主さんの思い違いです。なんともありません。それでは私は仕事に戻ります……」
工房主 「ほら、いま振り向いたときにちょっとバランス崩したろ」
ヴィアーチェ 「…………いいえ」
工房主 「ともかく。ちょっとそこの椅子に座って。話をしようか」
ヴィアーチェ 「命令ですか」
工房主 「命令です」
ヴィアーチェ 「……わかりました」

 


工房主 「さっきの様子からすると、頭痛かめまいがするというところかな」
ヴィアーチェ 「……ええ、少し。ですが、病院で検査しても異常はなかったんですよ」
工房主 「ああ、すでに診察を受けてるんだ」
ヴィアーチェ 「お祖父様に言われて、内科と脳神経外科で検査を」
工房主 「それでも症状は出てる?」
ヴィアーチェ 「はい。働きすぎで疲労が蓄積しているせいだろうとお医者様はおっしゃいました」
工房主 「うっ……不甲斐無い雇い主ですみません」
ヴィアーチェ 「あっ、いえ、そういう意味で言ったわけでは……。そんなに疲れているという自覚はないんですよ」
工房主 「君は無理してても表に出さないからなぁ。疲れていたらちゃんと休まないと」
ヴィアーチェ 「お気遣いありがとうございます。でも本当に今回は疲れを感じていないんです」
工房主 「んー……。とすると、あれかなぁ」
ヴィアーチェ 「…………」
工房主 「肩とか首が凝ってない?」
ヴィアーチェ 「? そうですね……私は肩こりに悩んだことがありませんのでよくわかりません」
工房主 「自覚なしか。ええと、ちょっと肩を触ってみてもいい?」
ヴィアーチェ 「えっ、わっ、私の……?」
工房主 「そりゃそうだよ。アーチェの肩こりを見るのに私の肩を触ってどうするのさ」
ヴィアーチェ 「そ、そうですね。わ、わかりました。どうぞ……っ」
工房主 「じゃ、失礼して……と、背後に立つけど撃たないでね?」
ヴィアーチェ 「アレッサさんじゃないんですから……」
工房主 「いや、撃たないと言っておきながら何度アレッサに撃たれたかわからないからね。一応」


工房主 「……何これ。アーチェの肩と首は金属でできてんの?」
ヴィアーチェ 「まさか」
工房主 「女の人は柔らかいものだっていう非モテ男の幻想をぶち壊すようなことをしないでくださいッ!」
ヴィアーチェ 「なんで泣きギレしてるんですか……」
工房主 「という冗談はさておき、尋常じゃないほど凝ってるんだけど。ほんとに自覚症状がないの?」
ヴィアーチェ 「はい。まったくと言っていいほどありません。動かすのにも支障を感じませんし」
工房主 「むぅ……私も肩こりの自覚は薄いほうだけど、これは筋金入りだな」
ヴィアーチェ 「だから硬いんでしょうね」
工房主 「誰が上手いこと言えと。ともかく、少しほぐしたらよくなると思うのです」
ヴィアーチェ 「そのおっしゃりようですと、肩こりがめまいの原因のように聞こえるのですけれど」
工房主 「うん、肩や首のこりが原因で頭痛やめまいを起こすこともあるんだよ。経験があるんだ」
ヴィアーチェ 「そうなんですか」
工房主 「というわけで、ちょっと肩もみしてあげたいと思うのですがよろしいか?」
ヴィアーチェ 「いえ、そんな、主さんにそんなことをさせるわけには……」
工房主 「まあまあ、いつも頑張ってくれているアーチェに酬いたいんだよ。こんなになるまで働かせちゃってることに対する贖罪の意味もあるし」
ヴィアーチェ 「……そこまでおっしゃるのでしたら……。でも私、マッサージとかに弱くて、声出ちゃうかもですよ……?」
工房主 「大丈夫、気にしないで」


ヴィアーチェ 「んっ……」
工房主 「随分凝ってるねぇ。ほんとにこれで自覚なしとは思えない」
ヴィアーチェ 「こうして……っ、肩を押さえられて……んっ……初めて凝っていたのがわかります……ふぁ……」
工房主 「腕を上げて背伸びするときに痛んだりしなかった?」
ヴィアーチェ 「そうするのは……っ、大抵は寝起きですから、体全体が強張っ、ていて、肩こりだとは……んっ、思っていませんでした」
工房主 「こいつはアーチェさん重症だァ」
ヴィアーチェ 「……ぅあ……ん……。気持ちいい……です」


ヴィアーチェ 「ぁ……ん……」
工房主 「…………」
ヴィアーチェ 「ふぁ……っ」
工房主 「…………」


工房主 「あの。アーチェさん」
ヴィアーチェ 「はい……?」
工房主 「その、やっぱり声出すのを我慢していただけないでしょうか」
ヴィアーチェ 「え? 抑えたつもりですけれど、出てましたか……?」
工房主 「ええ。可愛らしいというかとてつもなくエロい感じの甘い声がダダ漏れで、私の理性が崩壊寸前なのです」
ヴィアーチェ 「!!!! そっ、そういうことはもっと早く言ってください! でないと……!」
工房主 「でないと?」
ヴィアーチェ 「ローナさんやアレッサさんが聞きつけて録画されたり……ああっ!」
アレッサ 「ヤベッ! 見つかったぞ! ローナ隊員! ちゃんと動画に収めたか?」
ローナ 「大丈夫です。バッチリ4K画質で録れてますよ隊長」
アレッサ 「ヤー、上出来だ! 総員退却ゥ!」
メイリン 「イエッサー!」
ヴィアーチェ 「ああああ! 手遅れでした!」
工房主 「待てお前らぁぁぁぁぁぁッ! その動画データをコピーして譲ってくれ!」
ローナ 「山盛りモンブラン人数分で」
工房主 「交渉成立ッ!」
ヴィアーチェ 「主さん! 何をバカなことやってるんですかっ!」
工房主 「アーチェのとろけた甘い声とか貴重だし家宝として残しておきたいじゃない?」
ヴィアーチェ 「いやそんな真顔で意味不明なことを言われても」
工房主 「まあ、あのデータの破棄は工房主命令で実行しとくから問題ないとして。少しでも頭痛やめまいはマシになった?」
ヴィアーチェ 「そうですね。今のところそれほど変化は感じられませんが……なんとなく気分は良くなったように思います」
工房主 「なら、本職にマッサージしてもらったほうがいいよ。それで改善しそうな気配だ」
ヴィアーチェ 「わかりました。今日のお仕事の後にでも行ってみます」


工房主 「あれから結構経つけど、調子は良くなったみたいだね」
ヴィアーチェ 「ええ、おかげさまで。主さんのおっしゃるとおり、肩と首のこりが酷かったようです」
工房主 「だろうね。ほんとに金属かと思うくらいだったし……」
ヴィアーチェ 「ストレッチのやり方を教わったので、大丈夫ですよ。ご心配をおかけしました」
工房主 「それは重畳。アーチェの健康が一番大事だからね」
ヴィアーチェ 「はい。頭痛とめまいも治まってもっと働けるようになりました。頑張ります」
工房主 「いやいやいやいや。そんな頑張らなくていいから。働きすぎでそうなったの忘れてるし」
ヴィアーチェ 「では、私が過労で倒れないように主さんに頑張っていただきませんと」
工房主 「ぉ、おぅ。任せたまへ?」
ヴィアーチェ 「なぜ疑問形なんですか……」
工房主 「自信がないからに決まってるじゃないか」
ヴィアーチェ 「…………。当分、私の肩こりは治りそうにありませんね」
工房主 「うぅ……。あ、肩もみくらいはできるからさ、そっちでなんとか埋め合わせを」
ヴィアーチェ 「……主さんは意地悪ですね。また私にあんな声を出させたいんですか」
工房主 「え? いや、そういうつもりでは」
ヴィアーチェ 「……別にいいですけど。ただし、二人きりのときだけですからね」
アレッサ 「うぉ、メイド長がデレた……」
工房主 「!?」
ヴィアーチェ 「!? ローナさんそのカメラはなんですか!」
ローナ 「今のシーンを録画してますが何か?」
ヴィアーチェ 「何か? じゃなくて! すぐに消去してください!」
アレッサ 「総員撤退ィッ!」
ローナ 「イエスマム!」
メイリン 「イエスマム!」
工房主 「やれやれ……山盛りモンブランが飛んでいくなァ……」


     完





───────────
 ちなみに、最近酷いめまいを起こして病院に担ぎ込まれました。
 冬から春になる時期によくめまいを起こすんですけど、今回は酷かった。乗り物酔いを何倍も酷くした感じで、世界が廻り始めると止まらなくて食べたもの全部吐いても吐き気が止まらないの。で、お腹からっぽだとエネルギーが得られないから回復しなくてじりじりと悪化していくのね。だからって何か食べてもすぐに出ちゃうのよ。某南極を目指す女子高生のアニメで言ってたみたいに、気持ち悪くても食べて我慢して回復のエネルギーを蓄えろ、ってヤツを実践して、快方に向かったわけで。キツかったッス。
 なんつーか、脳神経外科でCTやらMRIやらで検査しても異状なしなんだけども、不意に振り向いたときとかにめまいを起こすのは治らなくて、今も体調不良なんスよね。めまい止めの薬ももらってるけど、これはめまいを起こしてる時に飲むと治まるってやつであって、めまいを起こさない予防薬じゃなさそうで、ふと頭を揺らしたときに起きるめまいには効果が無い。
 いろいろ調べてみたら耳鼻科に行けばいいらしいとわかったんだけども…とりあえずガッチガチになってた肩と首をマッサージしてたら症状がマシになってきてるんで、それで様子見してます。今までも時間を置いたらめまいが出なくなったし、とりあえず。

 それにしても、健康って大事ですねぇ。しみじみ。

 
創作小説 | Comments(0)
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